あらかじめサインバルタの副作用を知っておこう

 

サインバルタは抗うつ作用や神経痛への効果が認められている医薬品となります。ただ、長期服用になりやすく、「副作用が気になる」という人も多いことでしょう。

 

ここでは、服用の際に問題となる

 

  1. 副作用の詳細情報
  2. 離脱症状

 

これらのポイントについて解説していきます。

 

目次

 

サインバルタの副作用の確率や頻度

 

サインバルタの添付文書には、副作用が現れる確率がデータ化されています。数千例の臨床試験から取ったデータなので、高い信ぴょう性を誇っています。

 

病例 副作用発生確率
うつ病、うつ状態

90.2%

神経障害・神経痛

50.9~73.8%

参考ページ:サインバルタ添付文書

 

↑がデータ値となりますが、うつ病・うつ状態の治療の場合は90%以上の副作用率となっており、なんらかの副作用が出る可能性は高いことがわかります。神経痛の治療についても50~70%程度の副作用率があるので、サインバルタは副作用については比較的強い医薬品と考えていいでしょう。

 

ただ、副作用が出たとしても、強弱は人それぞれです。効果がいい方向に出ていて、副作用が我慢できる程度であれば継続するのもよいでしょう。大事なことは、「どんな副作用があるのか」をあらかじめ知っておくことです。服用を続けるかどうかは、それらの副作用の出方次第です。

 

サインバルタの副作用<眠気、頭痛、めまいなど>

 

最も多いのが、精神系の副作用や過敏症関連の副作用となります。

 

5%以上 1~5% 1%以下
眠気(31.0%)、頭痛(21.0%)、めまい(10.9%)、倦怠感・だるい(6.1%) 不眠、立ちくらみ、しびれ 発疹、かゆみ、蕁麻疹、あくび、注意力散漫、気分高揚、不安、悪夢、発熱、悪寒、味覚異常、無感情、忘れっぽいなど

※頻度不明:光線過敏症、血管浮腫、皮膚血管炎など

 

中でも多いのが

 

  1. 眠気(31.0%)
  2. 頭痛(21.0%)
  3. めまい(10.9%)

 

の3つとなっており、眠気に関しては3人に1人が出るほど確率の高い副作用となっています。

 

精神系の副作用が出やすい理由は、おそらくサインバルタの作用そのものにあります。この薬はSNRIと呼ばれますが、かんたんに言うと脳内の「セロトニン」と「ノルアドレナリン」の量を増やす作用があるということです。

 

セロトニン 眠気をコントロールしたり、衝動的な欲求(食欲・性欲)を抑制する作用がある
ノルアドレナリン 覚醒作用があり、やる気や集中力・注意力を増したり判断力をアップさせる。筋肉の機能が向上する。

 

↑がセロトニンとノルアドレナリンの作用ですが、サインバルタはこの一見すると相反する神経伝達物質を増やします。そのため、人によっては眠気がよく出る、物忘れが激しくなる、だるく感じることもあるし、逆に覚醒して「不眠」になったり、怒りっぽくなったりすることもあるのです。

 

なので、こういった精神的な副作用が出るということは、ある意味ではしっかり効いているということでもあります。ただし、ノルアドレナリンの方が強すぎる場合、つまり「覚醒作用」や「興奮状態」「不安感が増す」「落ち着かない」「攻撃的になる」「イライラ・怒りっぽくなる」といった状態になっている場合は、SSRI(セロトニンのみを増やす)の医薬品に切り替えることも考えたほうがいいでしょう。

 

抗うつ剤、抗不安剤などによくある「めまい」「耳鳴り」「ふらつき」といった副作用についても、サインバルタでも同様に出ることがあるので注意が必要です。また、ビリビリ、むずむずといった感覚の「しびれ」が出ることもあることは押さえておきましょう。

 

過敏症が出る場合は服用NG

 

サインバルタを服用することで、確率は低いですが発疹・蕁麻疹などの皮膚炎のような症状が出ることがあります。

 

これらの皮膚炎が出る理由としては、過敏症・薬疹があります。これらの過敏症や薬疹は、体の免疫機能がサインバルタにたまたま反応してしまったことで起こります。要するに「体質に合わない」ということで、全ての医薬品で過敏症・薬疹の可能性はあります。市販の風邪薬が合わない人もいますし、場合によってはビタミンサプリで薬疹を起こすケースもあるのです。

 

そのため、発疹などの症状が出るということは、「運悪くそういう体質だった」というのが現実です。薬疹・過敏症が出る場合はサインバルタの服用は速やかにやめましょう。

 

サインバルタの副作用<便秘、下痢、吐き気など>

 

サインバルタの副作用で精神系と同様に多いのが消化器系の副作用です。

 

5%以上 1~5% 1%以下
悪心(気持ち悪い・36.6%)、食欲減退(5.2%)、口渇(22.9%)、便秘(13.9%)下痢(11.8%) 胃痛、吐き気・嘔吐、消化不良 口内炎、歯痛など

※頻度不明:喉の痛み、嚥下障害、大腸炎など

 

特に多いのが具合が悪くなる「悪心」の副作用で、36.6%となります。また、便秘・下痢や口渇、食欲減退なども比較的確率は高くなっています。

 

これらの消化器系の副作用の理由ははっきりしていて、体内のセロトニンが増えたことが原因とされています。サインバルタは脳内のセロトニンを増やす目的で服用されますが、セロトニンの受容体は実は脳だけでなく体中にあります。特に消化器系にセロトニンの受容体が多く、服用することによって消化器の受容体が刺激され、吐き気や便秘、下痢と言ったことが起こるのです。場合によっては、おならがくさいなんてこともあります。

 

そのため、サインバルタ(SNRI)に限らず、セロトニンを増やすSSRIに関しても、これらの消化器系の副作用はつきものと考えたほうがいいでしょう。

 

対処方法としては2つ考えられます。1つは、「しばらく我慢すること」です。服用するとセロトニンが増え、消化器の受容体が刺激されて吐き気などが現れる場合もあります。しかし、じょじょに体がセロトニン増加になじんできて、だんだん消化器系の副作用はなくなっていくことが多いです。実際、1~2週間程度経過すれば、90%以上の確率で消化器系の副作用は改善されていくと言われています。

 

2つめは、「胃薬を利用すること」です。消化器系の症状を緩和するために、胃薬を併用して対応するということです。

 

薬品名 種別 備考

ガスモチン

消化管の運動を活発にする

胃腸の動きを活発にすることで、消化器の症状を抑える。

ガスター

H2ブロッカー

胃酸をコントロールする「H2受容体」を阻害することで、胃酸の分泌量を抑える。

 

よく利用される胃薬は↑の2種類となります。

 

重要なのは、吐き気が来てから胃薬を飲むのではなく、「吐き気などがあるかも」と注意して、あらかじめ服用しておくことです。実際、サインバルタが処方される場合は、併せて胃薬が出されることも多いです。もし胃腸が弱く副作用が心配なら、胃薬を処方してもらったり、用意しておくのもアリでしょう。

 

なお、1~2週間経っても吐き気が消えない場合は、他の医薬品に切り替えるのも手です。

 

抗うつ目的 → リフレックス、ドグマチールなど
神経痛治療目的 → リリカなど

 

これらの医薬品も副作用がないわけではありませんが、薬を変えることで吐き気が改善される可能性はあります。

 

サインバルタの副作用<循環器・肝機能>

 

サインバルタの副作用である程度確率が高いのが「循環器」「肝機能」の副作用となります。

 

5%以上 1~5% 1%以下
- 動悸、高血圧、AST(GOT)・ALT(GPT)・γ-GTPなどの上昇、ヘモグロビン・赤血球などの減少 低血圧、不整脈、異常出血

 

セロトニンの増加で消化器系の副作用が起こることはすでに解説しました。そして、循環器系の副作用については今度は「ノルアドレナリンの増加」が原因と考えられます。SNRI((セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬))なので、ノルアドレナリンも増加します。

 

ノルアドレナリンはやる気を出させたり、集中力を増したりといった効果があります。しかし、増えすぎると体が興奮し、動悸や血圧上昇といった結果になることもあります。

 

なので、動悸などの循環器系の症状が出ているときは、サインバルタの「ノルアドレナリン増加作用」が強く出過ぎているということなので、ノルアドレナリンを増やす作用のないSSRIなどに切り替えるのが一般的です。

 

また、肝臓で代謝される医薬品のため、服用すると肝臓に負担がかかります。

 

指標名 基準値 基準値オーバーの場合
AST(GOT) 31IU/L以下 肝細胞の障害
ALT(GPT) 30IU/L以下 肝細胞の障害
AL-P 100~325IU/L 肝障害、胆道疾患
LDH 180~240IU/L 肝細胞の障害
γ-GTP 30IU/L以下 肝細胞の障害

 

↑はそれぞれの肝臓の数値説明ですが、これらの数値が高くなるということは肝細胞がなんらかの障害を受けているということになります。

 

そのため、もともと肝臓の数値が基準値をオーバーしている場合は、服用はかなり慎重に行う必要があります。健康診断などで肝臓の数値のアドバイスを受けたことがあるなら、服用は考え直したほうがいいかもしれません。

 

サインバルタの副作用<その他の副作用>

 

その他にもいくつかの副作用があります。

 

5%以上 1~5% 1%以下
- 排尿困難、発汗(寝汗)、体重減少、体重増加 関節痛、肩こり、けいれん、性機能異常むくみ、寒気、熱感

頻度不明:多尿

 

サインバルタを服用することによって1~5%程度で起こるのが排尿関連の副作用です。尿が出しにくい「排尿困難」や、逆に尿が頻繁に出る「頻尿」「残尿感」などが起こることがあります。排尿困難になった場合、体の水分がうまく出せないことからむくみが起こることもあります。

 

ただ、もともと古い抗うつ剤には「抗コリン作用」というものを持つものがあり、神経伝達物質のアセチルコリンが阻害されることによって排尿困難などの副作用が出ることはよくありました。その点、排尿に関わる副作用は少なくなっている方だとは言えるでしょう。

 

あとは性機能障害の副作用もあります。女性の場合生理不順、男性の場合は射精・勃起障害といった形で出ることになります。原因はいくつか挙げられますが、中でも大きいのは「セロトニン」の影響でしょう。セロトニンが増えると、脳はゆったり落ち着いた状態になり、食欲・性欲が落ちることになります。その結果、性機能障害が起こると考えられます。セロトニンで食欲が落ちた結果、体重が落ちることもあります。

 

また逆に、ノルアドレナリンが増えた場合は食欲が増し、体重が増えたり、性欲が増すことも考えられます。どっちに働くかは、その人次第と言わざるを得ません。

 

いずれにしても、尿がうまく出ないといった副作用が出て耐えられない場合は、別の医薬品に切り替えるなどの対策が必要です。医師に相談して、解決策を探すようにしましょう。

 

重い副作用が出る場合もある

 

サインバルタを服用すると、低確率ではありますが副作用が重症化することがあります。

 

  1. セロトニン症候群
  2.  

    脳内セロトニン濃度が増えすぎることにより、不安や興奮、下痢、発熱などの自律神経失調症状が出ることがある。

     

  3. 悪性症候群
  4.  

    精神薬でまれに起こる悪性症候群はサインバルタでも起こりうる。発汗やよだれ、言語障害などが起こるほか、腎機能の低下、急性腎不全に至ることもある。

     

  5. 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群
  6.  

    低ナトリウム血症や低浸透圧血症などを伴う症状が出ることがある。水分制限などが必要。

     

  7. けいれん、幻覚・幻聴
  8.  

    幻覚・けいれんなどが現れることがある。

     

  9. 肝機能障害
  10.  

    肝臓系の数値が上がって肝機能障害を起こすことがある。

     

  11. 皮膚粘膜眼症候群
  12. アナフィラキシー反応
  13. 高血圧クリーゼ
  14. 尿閉

 

いずれの症状も発症する可能性は低いですが、もし現れた場合はサインバルタの服用は速やかにやめて医師の診察を受けるようにしましょう。

 

腎機能障害にも注意

 

サインバルタは肝臓で代謝される医薬品ですが、排泄は尿からも行われるため、腎臓への負担もあります。そのため、重度腎障害(CCr >30)の重度腎障害、末期腎不全、あるいは透析患者はサインバルタの服用は禁忌となっています。

 

もし服用してしまうと、尿中排泄されなくなり、AUCやCmax(最大血中濃度)が2倍に上昇してしまうためです。血中濃度が高まるということは、それだけ副作用などのリスクが高まるということなので、服用はできません。

 

腎障害などで治療中の場合は、サインバルタを服用するためには厳密なCCrの計測が必要になるため、必ず医師の診察を受けましょう。

 

離脱症状について

 

サインバルタを含む、神経伝達物質に関わる精神系の医薬品は基本的に依存性・耐性形成のリスクがあります。かんたんに言うと、長期服用をすることによって徐々に効き目が薄れることを「耐性」、そして服用量が増えてやめられなくなることを「依存性」と言います。

 

そして、それまでにできた依存性のせいで、服用をやめたり、服用量を減らしたりすると、離脱症状が起こることになるのです。薬が抜けることによって、自律神経が乱れてさまざまな症状が出てくるのです。

 

  1. めまい
  2. 耳鳴り
  3. ふらつき

 

離脱症状として現れるのは、↑のものが多いです。自律神経の乱れからくるものとなるので、発熱などの風邪のような症状が起こることもあります。また、サインバルタ服用中の副作用のような症状を訴える人もいます。

 

離脱症状が起こるシチュエーションとしては、「服用を勝手にやめる」というものが最も多いです。サインバルタを服用して調子が良くなってきたら、やはり「服用をやめてみよう」と思うのが普通ですが、あくまで調子がいいのは薬のおかげかもしれません。もし減薬・断薬するにしても、医師のアドバイスをうけつつ、じょじょに減らしていくのが無難です。あるいは、離脱症状を我慢することに決めて、すっぱりやめる方法もあります。

 

離脱症状の強さとしては、他の精神薬と比べると「中くらい」と考えられています。パキシルなどの依存性の高い医薬品に比べると軽いですが、離脱症状があること自体は事実です。安易に服用をやめるのではなく、計画性を持って減薬・断薬していくことを心がけましょう。

 

まとめ

 

サインバルタはその他の医薬品に比べると副作用が強めなので、自分にもある程度副作用が起こる可能性が高いことは理解しておきましょう。対処方法もそれぞれなので、事前に知識を得ておくことは重要です。

 

  1. 高齢者
  2. 肝障害がある人
  3. 腎障害がある人

 

また、↑に挙げられる人に関してはサインバルタの服用に関してはさらに慎重に行うようにしてください。特に高齢者は認知症の治療などで処方されるケースがありますが、精神的な副作用の影響を受けやすいので、副作用に関しては余計注意するようにしましょう。