サインバルタの併用禁忌・注意薬を知ろう

 

医薬品には併用禁忌・注意薬がある場合がほとんどですが、サインバルタも例外ではありません。

 

ここでは、サインバルタの併用禁忌・注意薬の解説や、よく利用されている医薬品との飲み合わせについて説明します。

 

目次

 

サインバルタの禁忌事項

 

サインバルタには、「こういった人はサインバルタを服用してはいけません」という禁忌事項があります。併用禁忌・注意薬を知る前に、禁忌事項を押さえておきましょう。

 

添付文章には以下の内容が書かれています。

  1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
  2. モノアミン酸化酵素(MAO)阻害剤を投与中あるいは投与中止後 2 週間以内の患者
  3. 高度の肝障害のある患者
  4. 高度の腎障害のある患者
  5. コントロール不良の閉塞隅角緑内障の患者
参考ページ:サインバルタ添付文書

 

この中で特に注意したいのが、肝障害、腎障害の部分です。サインバルタは肝臓で代謝されるほか、尿中排泄をするため腎臓への負担もあります。そのため、重度の肝障害・腎障害を持っている人の場合、サインバルタを服用すると血中濃度が高まりすぎて、さまざまなトラブルが予想されます。

 

なので、肝臓や腎臓などの診断時の数値に不安がある場合は、サインバルタの服用は医師の診察を受けてからにするべきです。

 

サインバルタの併用禁忌薬

 

サインバルタには、1種類だけ併用禁忌薬があります。

 

モノアミン酸化酵素(MAO)阻害剤

 

モノアミン酸化酵素(MAO)とは、モノアミン神経伝達物質の酸化を促す酵素のことです。MAO-AとMAO-Bの2種類がありますが、日本で承認されているのはMAO-Bに関わる「エフピー(成分名:セレギリン)」のみとなっています。

 

エフピーを服用してMAO-Bが阻害されると、ドーパミンの酸化が阻害されるため、結果的にドーパミン量が増えます。その作用を期待して、パーキンソン病などに利用されています。

 

MAO阻害剤とサインバルタを併用すると、発汗や全身けいれん、発熱・昏睡などの症状が出る場合があるため、サインバルタとの併用は「禁忌」となっています。

 

MAO阻害薬を利用するケースは限られますが、もしパーキンソン病の治療などが必要になった場合はMAO阻害薬を処方される可能性があるので、サインバルタを服用していることは必ず伝えるようにしましょう。

 

サインバルタの併用注意薬

 

サインバルタには複数の併用注意薬があります。まずは一覧で確認しましょう。

 

薬剤名など 何の症状に利用されるか 併用のデメリット
ピモジド(オーラップ) 統合失調症、自閉症 サインバルタによってピモジドの肝代謝が阻害され、血中濃度が増加。QT延長や不整脈などの血管系副作用が出る可能性がある。
睡眠薬・抗不安薬全般 不眠症・不安など お互いに中枢神経抑制作用をもっているため、作用を増強する恐れがある。
SSRI、SNRIや三環形抗うつ薬 うつ状態、うつ病 相互にセロトニン作用を増強させ、セロトニン症候群の可能性がある。
メチルチオニニウム塩化物水和物(メチレンブルー) 中毒性メトヘモグロビン血症 セロトニン症候群の可能性がある
降圧剤 高血圧 サインバルタのノルアドレナリン再取り込み阻害作用により、降圧剤の効果が弱くなることがある。
アドレナリン,ノルアドレナリン パーキンソン病 相互作用によってノルアドレナリンが増え、血圧上昇などのおそれがある。
ワルファリン(ワーファリン) 抗凝固薬 相互作用によってお互いの血中濃度が高まり、作用が増強されてしまうおそれがある。
NSAIDs(解熱・鎮痛剤) 解熱・鎮痛 出血傾向が増強されることがある。

 

これらの医薬品はすべて、サインバルタとの併用は慎重に行うべき「併用注意薬」となっています。

 

この中でも、特に注意すべき医薬品について、以下で解説します。

 

抗不安薬・睡眠薬(デパス、アモバン、マイスリーなど)

 

抗不安薬 デパス、レキソタン、ソラナックス、ワイパックス、メイラックスなど
睡眠薬 アモバン、ルネスタ、マイスリー、レンドルミンなど

 

↑に挙げた抗不安薬、睡眠薬には中枢神経抑制作用があります。中枢神経を抑制することによって、「不眠症」「睡眠障害」「不安」といった症状を抑えることができます。
ところが、サインバルタにも中枢神経抑制作用があります。セロトニン再取り込みを阻害することにより、シナプスのセロトニン量が増えるため、眠気や落ち着きなどが出てくることになります。

 

そして、抗不安薬・睡眠薬とサインバルタを併用すると、この中枢神経抑制作用が増強され、過剰に眠気が出たり、集中力・注意力低下といった状態が出てきてくる恐れがあるのです。

 

そのため、安易に併用することは控えることとなっており、服用量を調整するなどして慎重に併用していくことが必要になります。なので、自己判断でむやみに併用したりするのはNGです。

 

SSRI、SNRIや三環形抗うつ薬(パキシル、ジェイゾロフト、レクサプロなど)

 

SNRI トレドミン、イフェクサーなど
SSRI ルボックス、デプロメール、パキシル、ジェイゾロフト、レクサプロなど
三環形抗うつ薬 トフラニール、トリプタノール、ノリトレンなど

 

サインバルタは「SNRI」に属する医薬品で、セロトニンやノルアドレナリンの再取り込みを阻害することにより、脳内のセロトニン・ノルアドレナリン量を増やす役割があります。当然、SNRIの違う医薬品を服用すると、効果が重複するため、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害作用が増強され、効果が増強されるリスクがあります。そして、三環形抗うつ薬も作用の重複という意味では同様となります。

 

また、SSRI(パキシル、レクサプロなど)もセロトニン再取り込み阻害作用があり、サインバルタと「セロトニン」の作用の部分が重複しています。

 

そのため、サインバルタ以外のSNRI、SSRI、三環形抗うつ薬に関しては併用注意となっています。とはいえ、実際に併用することはほとんどなく、基本的には「薬が合わなかったときに別の医薬品に切り替える」と言う方法がとられます。なので、自己判断で「効かないから、別のSSRIと併用してみよう」というのは避けましょう。

 

なお、デプロメールなど一部の医薬品に関しては、 「血中濃度が高まる」という点からも併用注意となっています。サインバルタには医薬品代謝酵素の一つ「CYP2D6」を阻害する作用があり、「CYP2D6」を利用する医薬品の代謝が遅れてしまいます。その結果、血中濃度が高まりすぎてトラブルの原因となることがあります。つまり、医薬品によってはダブルの意味で併用注意となるので、余計に慎重な選択が必要となるのです。

 

NSAIDs(ロキソニン、ボルタレン、アスピリン、イブプロフェンなど)

 

NSAIDs(非ステロイド解熱・鎮痛剤) ロキソニン、ボルタレン、アスピリン、イブプロフェン、インドメタシンなど

 

「NSAIDs」とは、非ステロイド系解熱・鎮剤のことです。ロキソニンやアスピリン、イブプロフェンなどがあり、バファリン(アスピリン)などの形で広く市販されていることもあります。そのため、頭痛の痛み止めや発熱の治療目的で非常に多くの人が利用しています。

 

実は、SSRIやSNRIを服用中にNSAIDsを服用すると、出血傾向が増強されることがわかっています。サインバルタはSNRIなので、同様にNSAIDsは併用注意となっています。

 

対処としては、サインバルタかもしくはNSAIDsの服用量を減らすことが挙げられます。ただ、個人がどのくらい服用量を減らせばいいかは判断できないので、併用の必要があるときは医師に相談するべきでしょう。

 

この医薬品との飲み合わせはOK?

 

サインバルタは短くても1カ月の服用期間となり、たいていの場合は比較的長期服用となります。なので、他の医薬品と併用になるケースも出てくるでしょう。

 

ここでは、利用者の多い医薬品を中心に、併用してもいいのかどうかを飲み合わせの観点から解説します。

 

胃薬(ガスモチン、ガスターなど)

 

胃薬全般に言えることですが、基本的にはサインバルタの併用注意にはなっていないので、併用自体は問題ありません。

 

むしろ、サインバルタとよく併用される医薬品もあります。サインバルタには消化器系の副作用があるので、胃薬を飲んで緩和しようという目的です。

 

>>副作用|離脱症状が出る場合もある

 

特によく使われるのが「ガスモチン」と「ガスター」です。ガスモチンは消化管の運動を活発にする作用があるので、サインバルタの消化器系の副作用を抑える働きがあります。ガスターは胃酸抑制なので、胃酸を少なくすることで副作用が軽減できます。

 

なので、サインバルタと胃薬との飲み合わせは比較的良好と言ってよいでしょう。

 

風邪薬(パブロン、ルルなど)

 

風邪薬とサインバルタの併用で問題になるのは、「解熱」にどんな成分を使っているかという部分になります。

 

  1. アセトアミノフェン
  2. NSAIDs(ロキソニン、イブプロフェンなど)

 

風邪の解熱で使用される医薬成分は、大きく分けて↑の2種類となります。このうち、NSAIDsに関してはすでに紹介した通り、サインバルタとは併用注意となります。

 

なので、風邪薬を選ぶポイントは解熱成分に「アセトアミノフェンを使っているか」という部分が重要になります。

 

病院で処方してもらう分には、このあたりは考慮してもらえるので問題ありません。注意したいのは、市販の風邪薬を選ぶ場合です。成分表を見て「アセトアミノフェン」と書いてある場合は良いですが、「アスピリン」「ロキソプロフェン」などNSAIDsの成分が書いてある場合は扱いに注意しましょう。

 

花粉症(アレグラ、アレロックなど)

 

花粉症は春頃になるとかなりの人が発症します。そのため、「アレグラ」「アレロック」などの花粉症治療薬を服用する機会も多くなるでしょう。そうなると、たまたま、サインバルタの服用期間と重複することもよくあるはずです。

 

結論を言うと、花粉症治療薬とサインバルタの併用は基本的に問題ありません。併用注意に指定されていないので、服用期間が重複してもそれほど問題はないでしょう。

 

ただ、花粉症治療薬にも、サインバルタと同じく消化器系の副作用が出ることはあります。なので、サインバルタの副作用と症状が重なって、重くなってしまうケースは考えられます。あらかじめ、副作用が重くなるかもしれないことは覚えておきましょう。

 

ピル(トリキュラーなど)

 

女性だと、ピル(トリキュラーなど)を利用している人もいるでしょう。

 

サインバルタとの併用については、「注意」に指定されているわけではないので、併用自体は問題ありません。また、併用によってピルの効果が落ちる・なくなるといった心配もありません。

 

ただし、サインバルタと「消化器系の副作用」と言う部分が重なっているので、症状が強くなる可能性はあることを押さえておいてください。

 

サインバルタの併用・飲み合わせまとめ

 

サインバルタの併用禁忌は「MAO阻害薬」となります。最低限、ここだけは覚えて、併用することがないようにしましょう。

 

併用注意薬についてはいろいろありますが、ポイントは

 

  1. 抗不安薬・睡眠薬
  2. SSRI・SNRI・三環形抗うつ薬
  3. NSAIDs

 

この3種類となります。特にNSAIDsは併用になりやすいので、併用するにしても「出血しやすくなる」と言う部分は覚えておくようにしましょう。